『インフォーマ』対談・沖田臥竜×佐野玲於…最高の相棒「ポンコツ2号」が見せた存在感

当サイト激オシのドラマ『インフォーマ』(関西テレビ)もいよいよ終盤戦に突入する。迫力あるバイオレンス描写や謎が謎を呼ぶミステリアスなストーリー展開が圧倒的な支持を得ている同作で、“情報屋”木原慶次郎(桐谷健太さん)の相方を演じているのが、GENERATIONSの佐野玲於さん。「ポンコツ2号」と呼ばれるヘタレな週刊誌記者・三島寛治役で絶妙な味を出しながら、物語の推進役である重要な役どころを務めている。
そんな佐野さんと、『インフォーマ』の原作・監修を務める小説家の沖田臥竜さんが対談。「桐谷さんとの相性ぴったり」と、佐野さんの存在感に太鼓判を押す沖田さん。「原作者の方が撮影現場まで来て、ドラマ作りに参加されているのは新鮮だった」と、沖田さんのモノづくりのスタンスに感動したという佐野さん。そんな2人が『インフォーマ』の舞台裏を語り合った――。

監督からの直接のオファーに「僕でよければ、ぜひ」

沖田 『インフォーマ』の構想は、藤井道人総監督と2年前に練り始めて、ドラマ化の企画立ち上げの段階から、佐野さんの名前が挙がっていました。

佐野 僕は昨年春に藤井監督に「近々、会えませんか?」と声をかけてもらい、2人で食事しながら、作品の内容を教えてもらい、出演オファーをいただきました。『インフォーマ』の話を聞いているだけで、すぐにいろんな場面の情景が浮かんで、わくわくして「僕でよければ、ぜひ参加させてください」と応えたんです。

沖田 初めて現場で佐野さんの芝居を拝見させてもらったら、桐谷さんと相性ぴったり。声や佇まいという雰囲気もよかった。この前やらせてもらった桐谷さんとの対談でも言ったのですが、『インフォーマ』では、自分の中では、黒川博行さんの『破門』シリーズを越えたかった。ドラマ化された『破門』での北村一輝さんと濱田岳さんコンビも素晴らしかったけど、桐谷さん、佐野さんのバディはそれを越えると思いました。佐野さんのお芝居では、怖くて逃げ出したくなる場面に次々と遭遇するけど、最後は漢気を出すという週刊誌記者の三島そのものが、目の前で表現されてましたから。佐野さん自身が本当に「ポンコツ」ってあだ名にハマっていて、当初イメージしていた三島を上回る、いい味のキャラクターになった感じがしました。それもこれも、佐野さんの演技力の賜物です。

佐野 ありがたいことに、普段自分のことを応援してくれているファンの方たちが、「GENERATIONSのステージで踊っている姿とはまったくの別人! 本当にポンコツ(笑)」って、楽しんで見てくれています。毎週やっているラジオにも感想メールがたくさん届く。それらを見ると、作品のテーマ性を理解してくれながらもエンタメとしてちゃんと楽しんでくれている方がたくさんいる印象です。また同時にNetflixの配信もあって、音楽やファッション業界、いろんなクリエイターの方々からも「見てるよ、おもしろい」と連絡をいただいています。普段はテレビドラマを見ていない人たちにまで届いている実感があって、うれしいです。

佐野さんの「ポンコツ」からの成長ぶりも見どころ(写真提供=カンテレ)

先日はチョコレートプラネットのお二人とお仕事でご一緒したのですが、「毎週、Netflixで見ていますよ、めちゃめちゃおもしろいですね」って言ってくださいました。LDHの事務所の先輩方もみんな見てくださっていて、「あれはオレも出たかったわ~」って、出たがっている方々がたくさん(笑)。すごい誇らしくてうれしい気持ちになりました。

沖田 今回は、私もいろんなところで感想を聞いています。特に私の地元・尼崎からは『ムショぼけ』に続いてということもあり、その反応の良さは肌感としてすごく感じています。

――沖田さんは監修者としても撮影現場に顔を出し、いい作品にしようと積極的にディレクションされていたそうですね。

佐野 そういうのって、僕にとっても新しい経験でした。沖田さん自身が、いろんなスタッフさんとやりとりされている姿を見かけて、「これで作品の精度が上がっていくんだ」と納得しました。制作した方々の思いが細部にまで行き届いているから、これだけおもしろいドラマになっているんだと思います。

沖田 もちろん、大前提は監督や俳優の方々のこだわりは重視していて、ここは(原作の世界観と全然違う)ってところだけは、フォローやアドバイスできたらというスタンスでしたよ。お互いに情熱を持って作り上げてきているからこその意見交換だったりするわけです。それよりも、自分が考えて書いたセリフを、佐野さんや桐谷さん、森田剛さんらが、生きる言葉としてしゃべってくれている場面を見ることができるのは、書き手としてすごく誉れがある瞬間でした。そこには、毎回感動していました。佐野さんと桐谷さんのバティについては、編集チェックのときに「映画版『ドラえもん』のジャイアンとスネ夫みたいだな」と。映画版だけでジャイアンが漢気を見せたり、スネ夫が勇気を持って「僕が行くよ」みたいな感じになる瞬間があるじゃないですか。そこがジワっと感動するんだけど、2人の芝居からもそういう瞬間があって、とてもよかったです。

本当にテレビで流せるのかと心配になるシーンも

――例えが、絶妙ですね(笑)。また今作は、一般的な地上波ドラマでは描かれてこなかった、派手なアクション・ファイトシーンや、昨今のコンプライアンス的に大丈夫かと思わせるほどの過激なシーンが話題となっています。深夜ドラマとは思えないほどの制作費でつくられているのもわかります。

佐野 オールロケ撮影だったのですが、第1話から新宿の街中で、人が火だるまになるシーンがありましたからね。それに激しいカーアクションや乱闘シーンなどもあって、自分も現場でいつもゾクゾクしていました。3、4話の撮影なんかは、本当にすごかった。そんな現場に参加しようと思っても、なかなかできるものじゃないですよね。もちろん、これから放送される7話以降にはもっとすごいシーンがあるので楽しみにしていてください。本当にテレビで流せるだろうかと、心配になるシーンもあったくらいです(笑)。

沖田 佐野さんも現場で見ていたけれど、(敵役の)キムが暴走する車に跳ねられるシーン。あれも新宿の街中で撮ったんですけど、何も知らん人が実際に警察に通報するなんてこともあるくらいの迫力だった。それぐらい、みんな攻めに攻めまくって撮影していましたね。

――ところで、バディを組んだ桐谷さんはいかがでしたか?

佐野 絵に描いたような良い人っているんだなって。子供のころから見てきた桐谷健太っていう俳優のイメージとぴったり一致していました。桐谷さんって「気さくそう」「おもしろそう」「元気」って印象だと思うんですが、本当に素顔もそのまま。おもしろくて、人の話を聞くのも上手なお母さんという感じでしたね(笑)。
 座長としてもすごく引っ張っていってくれて、「この場面はこうしたほうがええんちゃうか」とか「こう来てくれたら、こう返すわ」など、アイデアもたくさん出してくださいました。インスピレーションの塊みたいな人ですね。それに、スタッフさんとも最も積極的にコミュニケーションを取られていたし、自分にもごく自然に気遣いをしてくれて。桐谷さんを見ていたら、勉強になることだらけでした。

桐谷さんとの名コンビ誕生(写真提供=カンテレ)

――沖田さんは、桐谷さんと対談もされました【参考「木原慶次郎というダークヒーローを生んだ男たち」】。

沖田 その時、桐谷さんは「座長って気持ちは全然なかった」と言われていましたけど、現場で見ていると、自然と座長の思いというか、責任感が出ていました。佐野さんに気さくに会話する姿もそうでしたが、すごく周囲に気を遣っていて、おもしろい作品、良いものにしようと、先頭を走っているなって。藤井監督が、桐谷さんに真っ先に声をかけたのも納得です。本当にまじめな方ですよ。

――元V6の森田剛さんのクールで怖い敵役も話題です。

佐野  森田さんと初めてお会いしたとき、すごいオーラを感じました。V6で活動されていたときと全く違う姿、雰囲気。いい意味での裏切り感。お若かった時に「どんな感じでV6のカミセンをやられていたっけ?」って思い出せないぐらい、あの頃と印象が違っていました。

――佐野さんもステージでパフォーマンスする姿とギャップが大きい役柄でした。

佐野 お芝居については、もっともっと勉強しなければって思っています。同じ表現者、エンターテイナーではあるけれど、ダンサーの世界とは全く違いますし、だからこそ、グループでやっているのとは違う表現や表情を学びたいし、挑戦したい。そこにおもしろみを感じていますし、ファンの方々にも楽しんでいただきたいんです。

佐野さんたちに再オファーできるように頑張りたい

――ところで、このドラマに出てくる情報屋のような稼業や、裏に潜む陰謀的な話は、どこまでがフィクションで、どこまでがリアルに近いのでしょうか?

沖田 情報屋の仕事については、ほぼリアルです。詳しくは話せないけど、自分自身がやっていることやから(笑)。ドラマに出てくる、警察の腐敗やフィクサーの暗躍ぶりなど具体的なエピソードはあえてフィクションにしていますが、そうした闇の構造自体はない話ではない。ちなみに原作小説だけには、もし弾けたら(=真実が表沙汰になったら)政治が大混乱する話をぼやかしながらも突っ込んでいます。見る人が読めばわかっちゃうようなことを。

佐野 お~っ。原作小説もおもしろかったです。それって、どこの部分だろう。もう一度、読み直さないと(笑)。

――週刊誌記者役を演じた佐野さんですが、ご自身は週刊誌のゴシップ的な記事はご覧になるんですか?

佐野 あまり見ないですね。

沖田 そりゃあ、俳優やアーティストは、週刊誌は大嫌いでしょ。

佐野 見るのは熱愛系だけですね。あ、あのタレントさんと女優さんが付き合っているんだ!とか。ごく普通の読者と一緒です(笑)。

沖田 不倫とかではなく、ハートフル系の熱愛ネタやね(笑)。

佐野 はい。そういうのは見ちゃいますね。

――さて、ドラマはさらに加速していって佳境に入っていきます。終盤の見どころなどを教えてください

沖田 やっぱり最終回は特別です。小さい時に見ていたアニメとかも、「まだ見たい」「寂しい」って思いも持ちながら、結末がどうなるか放送されるのを楽しみにしますよね。連続ドラマという長丁場だからこそ到達できる、最終回を見たときの驚きやおもしろさは間違いなくあります。それまでの1話1話がすごく丁寧に作られているから、絶対に見たくなると思いますし、全10話、最後まで見ていただいての感想っていうのを、知りたいですね。

佐野 たしかに最終回は、全部乗せ、アクションも物語の展開も、そして結末、さらにエンドロールまでと本当にてんこ盛りで豪華になっています。すごくエモくもあり、エキサイティングでもあり、個人的には、もっともっと見たいって思うようになっていました。

沖田 実は最終回のクライマックスシーンで出ているんですよ。

佐野 えっ? 沖田さんがですか?

沖田 はい。原作小説の版元であるサイゾーの社長さんと一緒にエキストラで(笑)。

佐野 えーっ、ちょっと僕ももう1回よく見てみます。

沖田 それと、また佐野さんたちにオファーできるように頑張りたいなと思っているんです。

――もしや、続編ですか?

沖田 そうなったらいいなと(笑)。

佐野 うわ~っ、いや、もうめちゃめちゃうれしいですね。桐谷さんも、現場でずっと続編の話をしていたので、「次はタイあたりで撮りたいなぁ」って。本当に熱望されていたので、まずは今作が最後まで大盛り上がりして、みなさんにも「楽しかった。次が見たい!」と思ってほしいです。

(文=編集部/写真=尾藤能暢)


ドラマ『インフォーマ』

毎週木曜深夜0時25分~0時55分放送中(関西ローカル)
見逃し配信:カンテレドーガ・TVer
Netflixでは地上波に先駆けて先行配信中

ドラマ『インフォーマ』予告映像

桐谷健太演じる主人公で、裏社会・政治・芸能など、あらゆる情報に精通するカリスマ的情報屋“インフォーマ”木原慶次郎と、佐野玲於(GENERATIONS)演じる週刊誌「タイムズ」記者・三島寛治が、警察・ヤクザ・裏社会の住人たちを巻き込み謎の連続殺人事件を追うクライムサスペンス。事件の背後に存在する謎の集団のリーダーで、木原の因縁の相手となる男を、事務所移籍後初のドラマ出演となる森田剛が演じる。

小説『インフォーマ』
沖田臥竜/サイゾー文芸/税込1320円
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週刊誌記者、三島寛治の日常はひとりの男によって一変させられる。その男の名は木原慶次郎。クセのあるヤクザではあったが、木原が口にした事柄が次々と現実になる。木原の奔放な言動に反発を覚えながらも、その情報力に魅了された三島は木原と行動をともにするようになる。そして、殺人も厭わない冷酷な集団と対峙することに‥‥。社会の表から裏まで各種情報を網羅し、それを自在に操ることで実体社会を意のままに動かす謎の集団「インフォーマ」とはいったい何者なのか⁉パンデミック、暴力団抗争、永田町の権力闘争、未解決殺人事件…実在の事件や出来事を織り交ぜ生まれた「リアル・フィクション」の決定版!

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インフォーマ(原作)公式

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